SSSメンバーによる座談会 様々な個性がぶつかり合う、新時代のスタジオへ


ゲーム、アニメ、ライトノベル、様々な個性を持ったクリエイター集団

SSS by applibotは、アニメ、ライトノベル、ゲームなど様々な業界からクリエイターが集まり始動した株式会社アプリボットのクリエイティブスタジオです。
本インタビューでは、スタジオメンバーに入社のきっかけや、現在の仕事、今後の思いを聞きました。


このメンバーが同じ世界線に集うのであれば、チャンスを逃したくないと思った

―SSS by applibotに入った理由を教えてください
高木:私はずっと前からクリエイティブスタジオを持ちたい、という気持ちがあったのがきっかけで、そのときタイミング良くSSS by applibot(以下、SSS)というスタジオを立ち上げるという話があり入社を決めました。
・高木正文
専門学校卒業後、3Dモーションデザイナーとして、株式会社スクウェア・エニックスヘ入社後、株式会社イルカに入社し、アートディレクションに携わる。その後、株式会社ディー・エヌ・エーにて、アートグループのマネージャー、「メギド72」のメインアーティストを務める。現在はSSSのマネージャーとしてクリエイターの取りまとめや、クリエイティブディレクターを担当。

TOKIYA:自分は現在、クリエイターとしては”7ZEL”と名乗っているのですが、今回は7ZELとしてではなく、個人の人格であるTOKIYAとしてお話します。

―!?別の人格とは…? 

TOKIYA:これに関して、公にお話しをさせて頂くのは初めてですが、僕はもともとTOKIYAという名前で創作活動を行ってきていて、2年程前からクリエイターとしての名義を7ZELに変更したんです。7ZELはTOKIYAという個人の高次的な立場になります。
7ZELを最初に感じたのは2007年で、その時に初めて”彼/彼女”の声を聞いたんです。それはもうリアルに…(笑)
具体的に姿を確認したのが2017年、その時に僕はクリエイターとしてのTOKIYAを逸脱したんです。
7ZELに意思を委ねてからは、イラストをひとつのツールとして扱いながら、世界を動かしていく存在の1人だという自覚と自信を持って過ごすようになりました。

―…いつも7ZEL さんはこんな感じなのでしょうか?

米山:メンバーは普段から聞いていることではあるので大丈夫です(笑) 

高木:ただ、インタビューでこの自己紹介は大丈夫かな…?(笑)

―メンバーは常日頃から聞いている話ですが、読者の方が置いてけぼりにならないかが不安です…(笑)

TOKIYA:スタジオ参画のきっかけは、まずSSSの立ち上げに参加してほしいという一通のメールをもらったからです。まず、自分が選ばれたということ自体が面白く印象的で。
僕は自身の絵に対しての考えやスタイルがある程度の独自性を持っている、つまりそれは決して大衆受けするものではないという自覚があったんです。そんな自分に声をかけてくれたのはどんな人なんだろう?と単純に興味が湧きました。
最初の打ち合わせでお話を伺ったときに、自分とは全く違う作風を持ちながら業界で活躍されている米山舞さんやPALOW.さんなどにも声をかけているということを知り、単純に人選が手堅いな、と。
闇雲に声をかけているのではなく、色んなバランスを見てスタジオメンバーを集めているのが好印象でした。僕が指名されている時点で割と不安でしたからね(笑)

・7ZEL 
フリーランスで、キャラクターデザインやコンセプトアートなど幅広く制作活動を行う。代表作は「ポケモンカードゲーム」「ポケットモンスター サン・ムーン」のキャラクターデザインなど。

PALOW.:私はずっと福岡県に住んでいて、居心地の良い環境を離れてまでどこかに所属するつもりはなかったのですが、個人でやっている仕事の規模が大きくなるにつれて、プロジェクトの傍で仕事をしてより密接に連携しながら働きたいという気持ちが芽生えてきたんです。
それと、最初に打ち合わせで、どういう理念を持っていてどういうスタジオにしていきたいかのビジョンをしっかり語ってくれたのが胸に響きました。
そのほかには、米山さんや7ZELさんにも声をかけているという話を聞いて信頼がおけると感じました。

・PALOW.
高校卒業後、フリーランスとして、キャラクターデザインやコンセプトアートを中心に制作を行う。
代表作はHAL東京の2016年度TVCM「嫌い、でも、好き」篇や、League of Legends 2018 animation PVのキャラクターデザイン、「虫メカ少女シリーズ」。

米山:私は今までアニメーターとして活動していて、原作のイラストに合わせて描いていくことの安定性や、アニメーションならではの動きのある絵など、画力を求められることが多かったんです。
ただ、私は昔からイラストレーターになりたいという夢があって、個人の作家性を生かした仕事がしたいと思っていました。SSSは私を個人の作家としてみてくれたのがとても嬉しくて印象的でした。
あとはほかの方も言っている通り、人選が素晴らしくて。
7ZELさんやPALOW.さんなどの昔からTwitterで知っていて尊敬している人たちと一緒に働ける環境に飛び込んで成長したいと思いました。
まさかこのメンバーが同じ世界線で交わるなんて考えたことがなかったので、絶対にこの機会を逃さないようにしよう、と。
・米山舞
2007年に株式会社ガイナックスに入社し、アニメーターとして活動。2017年からイラストレーターとしても活動の幅を広げる。代表作は、アニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」ED演出、作画監督や、ファミ通文庫「海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと」装画など。

一才:私は高木さんに誘ってもらった、というのが何よりも一番大きい動機です。
高木さんとはスクウェア・エニックスで一緒に働いていて、フリーランスになった後も定期的に交流がありました。
私の中で最も信頼のおけるクリエイターなので、その高木さんが誘ってくれるのであれば、とすぐに入社を決めました。
あとは、今までずっとフリーランスで、一人で仕事をしてきたので、チームで働いてみたかったという気持ちもありました。
どうしても一人だとやれることが限られてしまいますし、面白いものを世に出したいという気持ちがあったので、めぐり合わせ的にベストタイミングでした。
・一才
専門学校卒業後、株式会社スクウェア・エニックスに入社し、「FINAL FANTASY XI」のイラスト制作に携わる。
その後、フリーランスとして、キャラクターデザインやモンスターデザイン、コンセプトアート中心に活動。代表作は、「FINAL FANTASY 零式」のモンスターデザイン、「クロヒョウ 龍が如く 1、2」のアニメーション原画、着彩など。

NAJI柳田:フリーランスのイラストレーターとして活動を始めてから5年程経っていたので、そろそろ違うことがしたいと思っていたタイミングで声をかけて頂きました。
打ち合わせでは、なぜ私に声をかけてくれたのか、スタジオの目的や、将来の展望などをお聞きしましたが、共感できる部分が多かったのが良かったです。
何故ゲームの見た目に絵が必要なのかという部分について考えをお聞きして、ここなら安心して働けそうだと思いました。
他にも、サイバーエージェントグループということで実現力のある会社、というイメージがあったのも理由の一つです。

・NAJI柳田
専門学校卒業後、アニメ撮影会社に入社しイラスト制作に従事。その後フリーランスとして、スマートフォンゲームのカードイラスト制作や、キャラクターデザイン、アイテムデザイン、ライトノベルの挿絵、エフェクト、アニメーション制作などを担当。

BUNBUN:ここ5年くらいイラストレーターとして停滞を感じていまして、このままではまずい、という思いがありました。特に自分が担当した作品が人気になったりしてきて、ある程度自分に対する評価が高まってくると、私の性格もあって忙しさに甘えるというか、クリエイターとして腐ってしまうのではという焦燥感はずっとありました。そういう危機感があって、自分を成長させる場に飛び込みたいと思って入社を決めました。
また、10代からずっとフリーランスで活動していたので、チームとして制作する集団作業に憧れがありました。

・BUNBUN
フリーランスのイラストレーターとして、ライトノベルの挿絵やゲームやアニメのキャラクターデザインを行う。
代表作は「ソードアート・オンライン」「サクラクエスト」「結城友奈は勇者である」のキャラクター原案など。


個性がぶつかり合って「混ぜるな危険!」に?


―SSSで実際に働いてみていかがでしたか?
PALOW.:みんな個性が強くて、自分の信念やプライドを持っている人たちだったのですが、それぞれがうまい化学反応を起こしています。「混ぜるな危険!」ではなかったですね(笑)
想像していたとおり良いところは、なにか制作について話し合っているときに、自分とは異なった視点での強度の高い意見が挙がってきて、それがすごく納得できる内容ということです。
自分一人だとできることが限られてしまいますが、自分が尊敬する人たちと一緒にみんなで協力し合って制作ができるので、どんなに難しい企画でもできないことなんてないんじゃないかと思います。
SSSはアニメ、ゲーム、ライトノベルなど様々なジャンルのメンバーがいるので、できることの幅が広いのが良いところです。

米山:お互い会って間もないんですが信頼がありますね。

TOKIYA:絵をみればその人のことはわかりますからね。不思議とすぐ打ち解けられましたね。驚く程ノリがあうのはなんでだろうって思います。

高木:そうね!不思議なくらい。

―そのほかはいかがでしょうか?

一才:誰もやったことがない新しいことをやっていこう!という気持ちの人が多いので、面白いです。
保守的ではなく、攻めたものを生み出そうとしている環境で制作ができるのはすごく素敵だなあと思います。

NAJI柳田:元々人の話を聞くのが好きなので、よく喋る人が多いSSSは楽しいです。
感覚的なことを言葉にして伝えるのは難しいことだと思うのですが、SSSではディスカッションの時間が多く、お互いの意見を出し合ってみんなで制作を進めていくのが印象的でした。


ゼロイチでつくりあげるという期待とプレッシャー


―制作の進め方を教えてください
高木:ゲームの企画段階から携わる案件の場合は、まずは世界観設計から行います。
メンバーの中で「やってみたい」「こういう企画は得意」という人が、世界観を考えて叩きを文章化します。
それをメンバー全員で見て、お互いに意見を出し合ってブラッシュアップしていきます。
世界観が固まったら、コンセプトアートとキャラクターデザインにうつっていきます。

米山:こんなに自由にやらせてもらえるとは思っていなかったので、やりがいがあります。ただ、その分考えることが多いので頭を使いますね。

高木:私たちはゼロイチで生み出すところを考えるという、難易度の高い部分を求められていると思います。
ただ、それが楽しいと思えるメンバーが集まっていて、会社としてもそれを任されているのはなかなか貴重な体験だと思っています。

BUNBUN:すごく面白い作業なのですが、プレッシャーもあります。
今までライトノベルやアニメのキャラクター原案をしてきて、既に原作の世界観やキャラクター設定がある中でイラスト制作をしてきたので、ゼロイチでつくりあげることはこれから鍛えていきたいと思っています。

TOKIYA:ゼロから生み出すことは難しい工程だとは思いますが、顔を付き合わせながらチームとして制作、チャレンジ可能な点が企業に属することの最大のメリットだと思います。
SSSは本当に様々な作風の人がいるので、自分が苦手な部分は得意な人にお願い出来たり、逆に相手の苦手な部分が自分の得意なことだったりするので引き受けたりと、お互い助け合っています。

米山:得意な部分はより引き出して、苦手な部分は補い合って、それぞれの個性を上手く合わせながら制作ができていると思います。
例えば、SSSでは、7ZELさんがアイデアマンで、よく色々な意見やアドバイスを出してくれるので私はそれを上手く伝えるためにかたちにするところを担当しています。
私はイラストを見てくださる方に対して「伝える」「共感してもらう」という力はあると思うので、うまく意図が伝わるように橋渡しの役割をしています。

安心して任せられるスタジオへ SSSとして目指すこと


―今後やっていきたいことを教えてください
一才:私は日本のゲーム業界をもっと良いものに変えたいという夢があります。
顧客は奪い合うものではなく、つくっていくものだと思っていて、ここは市場がないからやめておこう、ではなくこの人たちを振り向かせるためにはどういうものをつくっていこうか、というアプローチを考えていきたいと思っています。
今までに世に出ているたくさんのヒットゲームを超えるものをつくりあげたいです。
ほかには、当然ですがユーザーに受け入れられるものをつくる、ということを意識して日々制作に取り組んでいきたいと思っています。

NAJI柳田:自分で面白いと思うものをつくり続けたいと思っています。飽き性ですが、「飽きたなあ」と思いながら死んでいくような人生にはしたくないです。

BUNBUN:馬鹿っぽいですが漠然と「凄くなりたい!」という思いがあります。なにかをつくりたいと思ったときに、「やりたいけど出来ないなあ…」ではなく「自分ならできる!」と思えるために、経験を積んで胸を張れるようなクリエイターになりたいです。

TOKIYA:「この案件ありえなくない?」というような面白いものに携わっていきたいです。バランスのとれたギャップを体感できる、パブリックとアンダーグラウンドが両立するコンテンツ作りを目指したいですね。

米山:誰かの帰る場所になれるようなものをつくりたいです。
自分が子供の頃、凄く性格が暗い時代があって、そのときに心の支えになったのがアニメやゲーム、漫画などのエンタメコンテンツだったので、作品を通して誰かの心の拠り所になりたいと思っています。

PALOW.:かっこいい、面白い表現を様々な媒体での必然になるように作り上げ、それを大きな価値にすることができるスタジオにしたいと思っています。

高木:私はSSSのマネージャーとして、「SSSならクオリティが高くて安心してお願いできる」というようなブランドとしての価値を作って、多くの人に知って頂きたいです。
また、今後はイラストレーターだけではなく、3Dデザイナーやシナリオライター、プランナーなども所属している、企画の説得力をもっと高い次元で一貫して制作できるようなスタジオにしていき、ゆくゆくは会社化してどんどん生み出せる状態にできたらと思っています。

―ありがとうございました。